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蘭の技術

蘭の設備 必要だが安く上げたい

更新2008-03-14

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目次

集合住宅での設備 戸建での設備 戸外栽培 湿度管理 通風 蘭を吊る 日曜大工ランの棚日曜大工ランの棚2冬越し用鉢を磨く高温性ラン(胡蝶蘭、デンファレ、バンダ)の越冬中温性ラン(カトレア類、パフィオ類、オンシジウム類)の越冬高温ケースへの挑戦転倒防止具室内水やり具ガリレオ式温度計クールケース?クール棚ランを持って帰る旅

 

緒言

蘭は世界中に分布しており、そのうちの多くはどうにも栽培困難なものがある。多くの蘭のなかで水苔に素焼鉢という共通な植え方と、冬は10度、夏は37度まで、という温帯にすむ先進国の住人の環境枠の中にたまたまはまりこむごく一部の蘭を育てているだけ、ということが最近になって理解できるようになった。これらの環境要因を著しく超えたところにも美しい蘭、珍妙な蘭が存在する。暑さがだめ、寒さがだめ、乾燥がだめ、鉢がだめ、この木じゃないとだめ、日が当たったらもうだめというものだらけなのが蘭科の多くの植物の姿だと思う。なにしろ、蘭科が地球に現れた頃には野原や山、川縁など先輩の植物に覆い尽くされて、木の上か岩場、日陰ぐらいしか場所が残っていなかったのでそれぞれ環境に限りなく適合して生きてきた。そのおかげで恐ろしく強くなった蘭(デンドロビウムの一部やカトレアなど)もあるが、寒い日陰でひっそりと咲くようなタイプはそこを離れて少しでも異なる環境に置けばたちまち枯れてしまうという種も少なくはないのである。蘭愛好家の中にはどうしてもそのような蘭を育ててみたくなり、おのれの力量と資力を尽くしてこのような蘭の育成を行うため、高さ4mにもなる巨大蘭のための巨大な温室だの、気温を最高15度に保つための冷蔵庫のような部屋をつくったりするのである。

もちろん我々が普段見かける蘭はすこし工夫すればどんどん育って花がバンバン咲くというものが多い。本稿では(大風呂敷が一挙に縮んで)困難な蘭育成のフロンティアに踏み込むことはせず、市販の蘭が一般家庭での生育が困難となる状況を打開するための設備について検討を行う。

 注意:電気器具による加温など火災や感電の危険があるため十分に注意してください。加温ケース、加温設備の自作などは自己責任で行ってください。

 

 

集合住宅での設備(マンションや団地だったら)

温度管理と湿度管理が楽なので、もっとも容易な栽培環境といえる。しかし、それは冬の話で、いかんともしがたい場合がある。日当たりだ。たとえば南向きのバルコニーを持っていたとしよう。ふつう日当たりが良いので蘭にはもってこいだと思われるが、実は夏など太陽高度が高くなると直射日光がとりにくいのだった。ひさしなどがあるといっそう困難になる。遮光をするとは言っても、多くの蘭は直射を遮光してあてなければ生育が思わしくない。バルコニーの壁に棚をたてかけ、遮光のためレースのカーテン(見切り品サティで100円)を張って、その下に蘭を並べるようにした。シンビジウムについては、コンクリートのフェンスの切れ目に鉄の柵がはまっているので、その外側にくくりつけて十分直射日光を十分に当てた。15階でそんなことをしてもいいのであろうか。普通許可されないので注意が必要である。

冬は先に述べたように窓辺に蘭を並べ、低い角度で差し込むガラス越しの直射日光を十分当ててやった。夜は厚手のカーテンを引いて熱の放射を防ぐとともに、毎晩蘭を窓辺から引きよせ、湿度を保つために風呂場の扉を開け放した。気温は外気がマイナスの日でも10度を保った。まことによい環境だったためか低温に弱い胡蝶蘭なども立派に開花した。

暖房器具を使わなかったことも幸いしたようだ。電気ストーブ500ワットが一つだけ。部屋の気温は1kWの人間様と風呂場の蒸気、それにこのストーブで15度をキープした。15度はパソコンの作業などを1時間もしていると指先が冷えてくる温度である。少々厚手の服を着て過ごす。しかし、石油ファンヒーターやガスストーブなどを使えば23度程度には出来たろうが、この温度は蘭にとって温度差がありすぎ、湿度とのバランスが崩れるため調子を崩すおそれがある。最近「デンファレはむずかしくて18℃はないと無理」という記述をどこかの掲示板で見たが、それは低温よりも温度湿度のバランスを壊した環境に問題があるのではないかと考えている。15度程度で暖めすぎず冷やしすぎず、湿度を保った生活が蘭にも人間にもむしろあっているかもしれない。

 

一戸建てだったら

 温度調節がもっとも重要な課題となる。最高最低温度計が必須だ。これをホームセンターで2980円で購入し(2200円のものを後で見かけた)、家の最低温度を調べた。この温度計は、温度が上がると右側の水銀柱があがり、ガラス管の中の小さなガラス棒を押し上げ、温度が下がるとそのガラス棒を置き去りにして水銀柱が下がるので最高温度がわかる。最低温度も同じように左側のガラス管の中に記録される。中央のボタンを押すと、記録された温度がリセットされる。今ひとつ仕組みがわからない実におもしろい温度計なのだ。

通常の一戸建ては場所にもよるだろうが、冬季人気がない場所で夜間は5度程度になる。これで越冬できるのはデンドロビウムとシンビジウム、くらいで、開花は春になる。雨戸をして、就寝前に加温して8度が保てる。バンダ(青系)はなんとか越冬できた。12度あれば大半の蘭が越冬のみならず通常の生育が可能だが、この差4度をいかにして埋めるか、ということが課題となった。

P社のワーディアンケースを欲しいと思った。このケースは室内用の温室である。お値段は近くのホームセンターで3万円ほどだったろうか。たぶん40鉢は押し込めるのではないだろうか。このほか加温用のヒーター15000円、温度調節器15000円、日中温度が上がりすぎた場合の換気扇7000円だったかとおもう。ざっと1式7万円であろうか。よくよく購入を検討したが、中身の蘭よりもはるかに高いのでついけちけち根性をだしてしまいやめてしまった。そのかわり同じようなものを作ってみようと考えたのである。

まずケースである。2×4の角材298円10本からたちまち棚をつくれるプラスチックの枠の6個セット2400円を2つを購入した。30分で(いやにパワフルな)かみさんが幅1500mm、高さ1800mm、奥行き350mmという4段の棚を組み上げた。これに1m170円幅1800mmの透明ビニールシート4mを巻き付ける。蘭はビニールシートをまくって出し入れする。この棚を母親の和室の窓辺に置き、夜は雨戸を閉め、上から反射シートや電気毛布、毛布をかぶせた。

熱源は、あんか、コーヒーメーカー、電球、電気毛布を検討した。コーヒーメーカー1000円を買ってきて熱と湿度の供給を図ったがあまり温度が上がらず失敗。60Wのあんか714円も熱が足りず失敗。電気毛布60Wと、裸電球100W880円の併用で効果があることがわかった。これに断熱シート及び毛布をかぶせると、夜間の気温は20度を超えるまでになった。たまたま廃物の温度調節器(熱電対にデジタル温度表示のいいやつ)をもっていたので、19度以上を関知して空気攪拌用のファン(古パソコンの電源かなにかから取り出したのではなかったろうか)がまわるように設定した。(本当は外気に暖気を放出するファンと、空気攪拌用の緩やかにまわるファンが欲しいところだ)

ごく順調に見えたが、課題があることもわかってきた。湿度不足になるのだ。水の皿を下に敷いてもだめだった。もっと水が蒸発しやすい環境を作らなければならなかった。また、母親の部屋を間借りしていたため、勤め人の著者の活動が活発な11時から1時の間に蘭の世話が何日も出来ないということが致命的となり、多くの胡蝶蘭の花芽が壊死してしまった(春になり脇目が出て開花したが、開花が1か月遅れた)つまるところ、育てる人間が相当手をかけてやらないと越冬というのは難しい。さもなければ高い機械を買うしかないのであろう。

春になり、結果として胡蝶蘭、バンダ、デンファレの寒がり御三家はじめカトレア、アングレカム、ほかさまざまな属の80鉢のほとんどは元気に越冬に成功した。一戸建て栽培の快挙といえるかもしれない。来年はもっとうまくやろう。高温になったときの換気用制御のために温度調節器がひつようと考え、電子工作の本やら電子部品屋をまわって、サーミスター、リレー、基盤、可変抵抗、トランジスタなどを買ってきたが、まだ組み上げていない。豪華自作蘭ケースへの最大の障害はリビングの用地買収だった!。

いよいよ2002年の冬(11月)になった。太陽電池ファンはよく働いている。そろそろ寒くなり、200Wの裸電球セット980円を買ってきて蘭に当てている。電球の覆いは針金なので、これにアルミホイルを巻き、光を前に当てる。ケースの外から満遍なく当てる。蘭をよく見るのにも役に立つ。ひょっとしてこの光で幾分なりとも育つのではないだろうか。これで最低気温は12度ほどになる。このうえビニールを張れば完璧ではないだろうか。

 

夏の戸外栽培

家の中に多量の蘭を置 くのも贅沢なら、戸外に蘭を日に当てるスペースというのも豪勢である。アングル棚が廃品に出ていたので、これをもらってきて庭に置いた。木材1.8mを4本しめて1000円を買ってきてボルトナット(100円×2)で止めてひさしを作った。これに銀色のダイオネット2×2mを2枚(園芸店の見切り品200円×2)をはる。一枚をひさし面の全面に、もう一枚をひさし面の半分(パフィオ、胡蝶蘭用60%遮光)と西側面(西日カット)にたらした。あとでのべる吊り具でさらに多くの蘭をぷらぷらと下げて拡張を図る。(内部の様子

ガレージ屋根の半透明樹脂トタンを透過する光は昨年アングロカステにあてて今年花上がりがよかったのでそちらも利用している。

最高最低温度計が6月上旬ですらなお13℃になると示しめしており、山(標高200m)の気候に驚く。リカステで実績があるように、うまく使えばマスデバリア、ミルトニア、オドントニアをうまく育てられ、シンビジウムは山上げしたような効果がでるかもしれない。

2003年の屋外栽培の様子。

2004年4月もっと簡易な棚を検討した。屋外の蘭の棚はその設置がさして難しいものではない。ホームセンターで木材を買ってきて、木ねじで枠を作る。その枠を適当な台の上に載せる。枠に遮光ネット200円をかける。枠の中に蘭を載せた園芸トレイを並べる。これだけである。およそ70鉢5つのトレイに入れた蘭をわずか5分で室内から屋外に展開できる。

 

湿度に気をつける

蘭の栽培においてないがしろに出来ないはずの湿度であるが、あまり省みられていないのが現状である。我々はしらずしらず乾燥した日に多くの水分を失い、多く飲み物を摂ることによってこの乾きをいやしている。物言わぬ蘭は水分の貯蔵機構があるとはいえ長期に乾燥にさらされれば種類によってはその健全さを損なうことになる。現に加温はするものの湿度を省みないばかりに胡蝶蘭を弱らせた経験があった。湿度を定量的に正しく評価すれば適切な対策を講じることにより未然に防げたかもしれない。冬の加温時の湿度測定について述べる。

湿度について述べる。空気が,どれだけの水蒸気をふくむことができるかは,温度によって決まっている。1m3中の空気に含むことができる水蒸気量(g)を,飽和水蒸気量という。

気温(℃)

0

10

20

30

40

飽和水蒸気量(g)

4.9

9.4

17.3

30.4

51.2

 湿度は,ある気温の空気にふくむことのできる水蒸気量(飽和水蒸気量)に対する,実際に空気にふくまれている水蒸気量の割合である。
 湿度={(空気1m3中の水蒸気量)÷(そのときの温度における飽和水蒸気量)}×100 [%]

湿度が低ければ水分を持つものから空気中に水分が飛散しやすくなり、水分が失われ、逆に湿度が高ければ水分は失われにくくなる。

湿度を計る計器はごく簡単なもので、2本のごく正確な温度計を用意し、片方を水がしみあがるガーゼを巻き付け(湿球)、片方はそのまま読みとる(乾球)。この目的のための専用の温度計が市販されている。このとき風があってはならない。湿球は乾球に比べ水が蒸発して熱を奪い去るため温度が低くなる。この温度差は、湿度が低くて水の蒸発が多くなるほど甚だしくなるため、この温度差から湿度を見積もることができる。この関係は下の表のようにまとめられており、乾球の温度を読みとり、その温度で表を横に見る。冬に蘭のケースを19度に加温したとして、乾球と湿球の温度差が6度だったとすれば、湿度は46%になり、乾いてしまって胡蝶蘭などの葉にしわが寄るなど害がおこりうる。差が3度なら湿度72%となりまずまずだ。

 

 

乾球と湿球との目盛りの読みの差(℃)

 

 

 

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

 

35

100

93

87

80

74

68

63

57

52

47

34

100

93

86

80

74

68

62

56

51

46

33

100

93

86

80

73

67

61

56

50

45

32

100

93

86

79

73

66

61

55

49

44

31

100

93

86

79

72

66

60

54

48

43

30

100

92

85

78

72

65

59

53

47

41

29

100

92

85

78

71

64

58

52

46

40

28

100

92

85

77

70

64

57

51

45

39

27

100

92

84

77

70

63

56

50

43

37

26

100

92

84

76

69

62

55

48

42

36

25

100

92

84

76

68

61

54

47

41

34

24

100

91

83

75

68

60

53

46

39

33

23

100

91

83

75

67

59

52

45

38

31

22

100

91

82

74

66

58

50

43

36

29

21

100

91

82

73

65

57

49

42

34

27

20

100

91

81

73

64

56

48

40

32

25

19

100

90

81

72

63

54

46

38

30

23

18

100

90

80

71

62

53

44

36